難易度の高いレギュレーションで安定感のある走りを見せた
「ハヤシライス」選手が初出場初勝利!

2025年11月2日(日)に「e-DGMS 2025 by グランツーリスモOpen Class Series Rd.4」が開催され、「ホンダ RA272‘65」によるレースで、ハヤシライス選手が初出場初勝利。
e-DGMS史上最も難易度が高いレギュレーションで、安定感のある走り見せ圧勝した。

今シーズン、毎回勝者が変わる激戦のe-DGMS Open Class Series。
今回のレースも14人のフルエントリーとなった。初参戦の選手は、ハヤシライス選手、Ryusuke選手、かじりん選手の3人。そして、今回はゲストドライバーとしてSCARZのTakuAn選手も参戦。昨年11月以来、1年ぶりの参戦だ。

今回のレギュレーションは、e-DGMS史上最も難しいものとなった。RA272ということで、当日のFormula1を意識した低グリップタイヤ、そしてABS禁止という条件が指定された。ABS禁止はグランツーリスモの競技ではほとんど見ることが無い。eスポーツの特性上、ブレーキからフィードバックされる情報が少なく、難易度が高くなりすぎることがあげられる。選手たちはこの難題にどう立ち向かうのか。マシンの難易度が高いため、ピットインや燃料といった項目はほとんどが設定されず、極めてシンプルなレギュレーションが用意された。

予選。予選中の燃料の消費量が30倍ということで、マシンが軽くなる2周目のアタックの方がタイムが出る設定だ。
まず1回目のアタックでは、ハヤシライス選手がトップタイム。
かじりん選手、そしてT.Tsuji選手が続く。
番手には前回ウィナーのふなさん選手が入るが、なんと2回目のアタックで縁石を踏みすぎてバランスを崩しクラッシュ。タイム更新とはならず。
2回目のアタックは、燃料が軽くなった分各車がタイム更新するも、上位勢に順位の変動はなく、先述の順位で予選が終了となった。
余談だが、予選ワンツーのハヤシライス選手、かじりん選手は、解説の岡田衛氏が監督として指揮を執るeスポーツレーシングチームの「EBBRO RACING TEAM」に所属する選手とのことで、岡田監督は大変ご満悦だった。

レーススタート。
ゲームマスターの岡田氏から「1つめのシケインは注意してください」と選手に注意が入った後のスタートとなった。
上位勢はきれいにスタートを決め、グリッドの順位で1コーナーをクリア。中団やその後続も大きな混乱はなかった。
各車、1つ目のシケインまでにスリップストリームを使って間隔を詰め、接近戦を演じていた。
そのような状況で、戦いの舞台は1つ目のシケインに突入。
トップのハヤシライス選手がシケインを通過したところで上位勢にアクシデント。
数台が絡む接触が発生し、2番手のかじりん選手がコースオフ。トップから大きな遅れを取ることとなった。

レースは3周目を数えたところ、3台のマシンが3番手争いを演じる。
ABSがついていないマシンであることから、コーナーひとつひとつで、神経を研ぎ澄ませ走行していた。
3番手争いを繰り広げていたのは、オープニングラップでのアクシデントから挽回したかじりん選手と、ふなさん選手、きよレーシング選手だ。
各コーナーで極限のブレーキング合戦を繰り広げるこの3台は、幾度となく順位が入れ替わるバトルを展開していた。
e-DGMS最高難易度のレギュレーションで開催された今回のレースは、エントラントも過去最高レベルのようだ。

レース4周目、3番手争いにひとり脱落者が出る。3台がまとまって侵入したシケインで、ふなさん選手が行き場がなくなり四輪がわずかにコースの外に出てしまう。これにより、グランツーリスモの裁定で1秒のスローダウンペナルティが課せられた。
1秒間マシンが強制的に減速するこのペナルティは、マシンの速度も落ちてしまうため結果として2秒近いロスとなってしまう。これでふなさん選手は、かじりん選手ときよレーシング選手に離されてしまう。この2秒が大きな壁となり、ふなさん選手は3番手争いから脱落してしまった。

レース5周目、ゲストドライバーのTakuAn選手は8番手でもがいていた。
「とにかく難しい、ABSなしのレースは経験がない」と話す。
グランツーリスモの世界大会「ネイションズカップ」で日の丸を背負って戦っているTakuAn選手ですら苦戦するこのレギュレーション。難易度の高さを物語っている。
かなり練習してきたとTakuAn選手は話すが、レースを掴み切れずにこのまま8番手フィニッシュとなった。
実は、このレース当日が誕生日だというTakuAn選手だったが、結果はバースデーケーキのように甘くはなかった。

レース8周目、トップを走行していたのはポールスタートのハヤシライス選手。その走りは圧巻だった。ラップタイムを見ると、1分51秒台で安定したタイムを刻んでいた。
この走りには解説の岡田氏も舌を巻く。「51秒台で走行できるレギュレーションだとは思わなかったし、51秒台を安定して刻んでいることは信じられない」とこぼした。
ハヤシライス選手のブレーキングのシーンを見ても、ブレーキのインジケーターに微調整している様子はなくピタリと決まっていて、シケインをクリアするマシンの姿勢も非常に安定している。
ドライバーの腕と、マシンセッティングが高次元でマッチしているようだ。

このまま、誰も手が付けられない安定感と速さを見せつけたハヤシライス選手がトップチェカー。
わずか10周のレースで、2位に7秒以上の差をつけての圧勝だ。
過去最高難易度のレースで、初参戦初勝利の快挙を達成した。
2番手にはT.Tsuji選手、3番手には、激しい争いを制したかじりん選手が入った。

次戦Rd.5は早くも今シーズン最終戦。11月23日(日)、「プジョー 205 ターボ16エボリューション2」でのレースだ。コースは、初のスノーコース「レイク・ルイーズ・ロングトラック」。なんと次戦もABS禁止かつスノーコースということで、骨のあるレギュレーションになりそうだ。
どのようなレギュレーションが用意されるのか、どうぞお楽しみに。