
ファイナルラップまでもつれる激戦を制した
埼玉自動車大学校の「tubasa-GT-R」選手がシリーズ戦初勝利!
2025年9月21日(日)に「e-DGMS 2025 by グランツーリスモTechnical College Series Rd.3」が開催され、アルファロメオ 4C Gr.3によるレースで、埼玉自動車大学校のtubasa-GT-R選手が勝利。東京オートサロン大会以来の白星で、シリーズ戦としては初めての勝利だ。
自動車整備士を養成する専門学校に通う学生たちが熱いバトルを繰り広げる、「Technical College Series」。学校ごとで共通性を持たせたリバリーで参戦するなど各学校対抗の色も強くなってきている。
戦いの舞台は、東京都の首都高速道路をモチーフに作られた「東京エクスプレスウェイ」。レイアウトは、長いストレート区間が魅力の「南ルート 内回り」。
車両は、高速サーキットにふさわしいレーシングカー、「アルファロメオ4C Gr.3」だ。
今回のレースは14人の専門学校生に加え、ダイワグループから採用グループ所属の渡邉圭介選手が初参戦。渡邉選手は、ダイワグループと専門学校生とのつなぎ役ということで、今回は学生たちに混ざって出走する。
専門学校生としての初参戦は4選手。中央自動車大学校のmakutaku選手、東京自動車大学校のビーンズ選手、新潟国際自動車大学校のhiko0822選手、ホンダテクニカルカレッジ関東のエイム力2選手。昨シーズンから、途切れることなく初参戦の選手が登場していることが、e-DGMS Technical College Seriesの注目度の高さを物語っている。
レギュレーションは、タイヤ戦略、そして燃料マネジメントが求められるものとなった。
3種類選べるタイヤはハードタイヤのみ使用義務があり、燃料は実質1回給油だが、給油量を迷うような設定。戦略の幅が非常に大きく、選手たちにはレース本番まで試行錯誤が求められる内容だった。
これらのレギュレーションに、難易度の高い指定車種も相まって、かなり本格的なレギュレーションとなった。

予選。戦いの火ぶたが切られた。
今回のレギュレーションは非常に難しく、予選の燃料量からして、アウトラップからアタックラップまで全開で走行すると燃料が持たない設定だ。すなわち、アウトラップから燃費の節約が求められるうえ、他車との位置取りを気にする必要があるのだ。各選手、燃費走行したり、すぐにピットインし、マシンが重くなってしまうことを承知の上で燃料を入れたりと、戦略は様々だ。
その中でトップタイムをマークしたのは埼玉自動車大学校のWhat a move選手。
2番手タイムをマークしたホンダテクニカルカレッジ関東のhagipiero選手をコンマ2秒上回った。3番手にはRd.2ウィナーの神奈川総合大学校のみらい選手、4番手には東京オートサロン大会王者の埼玉自動車大学校tubasa-GT-R選手が入る。
強者がそろう中で、What a move選手は自身初のポールポジションを獲得した。

決勝のスタートは、タイヤ選択に注目が集まった。レースのセオリーでいえば、予選上位勢はソフトタイヤで逃げ切りを図りたいもの。だが、決勝始まって各選手のタイヤを確認すると上位勢はほとんどがハードタイヤを選択。他車との関係よりも、事前に用意した自分の走りに重点をおいたようだ。
スタートは全車一斉にスタート。ホールショットはポールスタートのWhat a move選手が獲得。後続の選手たちは、コース幅が狭いことも相まって、各コーナーで火花が散るような接近戦を繰り広げる。
その中で、2番手スタートのhagipiero選手がクラッシュに巻き込まれ、修復のために緊急ピットイン。戦略が大きく乱れ、勝負権を早くも失ってしまった。

オープニングラップ早々、修復のためにピットインしたhagipiero選手と同じタイミングで、ポールスタートのWhat a move選手がピットイン。ハードタイヤを1周で捨て、ミディアムタイヤに履き替える。燃料も十分に補充し、8番手付近で戦線に復帰した。
レースの隊列は見た目上、みらい選手、そしてtubasa-GT-R選手が率いることとなった。

レース4周目、トップに動きが。首位を走っていたtubasa-GT-R選手がピットイン。
ミディアムタイヤに履き替え、燃料をタンク半分まで給油した。
トップ争いを繰り広げるWhat a move選手に比べ、タイヤのライフや燃料量が有利なタイミングでのピットインを図った。
すぐさまピットを飛び出したtubasa-GT-R選手は、みらい選手を追いかけ始めた。
そしてそのtubasa-GT-R選手のすぐ後ろ、同じタイミングで入ったhiko0822選手はソフトタイヤを選択。7番手スタートながら上位勢に食らいつき、ソフトタイヤに履き替え戦線に復帰した。ソフトタイヤの優位性でtubasa-GT-R選手を追いかけ始めた。

トップのみらい選手がピットに入ったのはレース6周目。燃料がほとんど残っていない状態でのピットイン。
タンクの1/4ほど給油し、ソフトタイヤでピットアウトした。燃料量が少ない状態でソフトタイヤを履くことによって、タイムを狙い、勝負をかけるようだ。
しかし、2番手まで上がって来ていたtubasa-GT-R選手が気になったか、やや心もとない燃料量でピットアウトし、なんとかtubasa-GT-R選手の前でコースに復帰する。タイムは出るが燃料が少ないみらい選手か、それともミディアムタイヤで粘りの走りに挑戦しているtubasa-GT-Rか、それともそのすぐ後ろに迫るhiko0822選手か。優勝争いは3台に絞られた。

7周目、2コーナーのヘアピン。上位3台のバトルが激しさを増す。
スリーワイドで飛び込んだヘアピン、一番早く立ち上がったのはhiko0822選手。
ただ、早々にソフトタイヤに履き替えたhiko0822選手のタイヤのライフは残り僅か。
前方でブロックする戦略を取るも、すぐにタイヤが息を切らし始める。
その隙を見逃さなかったtubasa-GT-R選手が8周目にオーバーテイクを完了しトップに浮上。
みらい選手も燃料が厳しい中、タイヤのグリップを生かし、食らいつく。
神経をむしばむ我慢のバトルは、ファイナルラップまでもつれることに。

ファイナルラップ。戦況は、燃料が厳しいがタイヤに余裕があるtubasa-GT-R選手。ソフトタイヤで勝負できるが燃料がさらに厳しいみらい選手。燃料はあるがタイヤのライフがゼロのhiko0822選手、という状況だ。
この3台でのバトルで、トップチェッカーを受けたのはtubasa-GT-R選手だった。
最後は燃料を節約しながら辛くもフィニッシュした。2番手にはみらい選手、そしてhiko0822選手はタイヤがもたずにクラッシュを喫し、4番手フィニッシュ。3番手には、hagipiero選手が表彰台に滑り込んだ。序盤のクラッシュが非常に悔やまれる結果となった。
戦略に幅があり、上位選手の戦略が大きく異なったTechnical College Series Rd.3。今回のファイナルラップまでもつれるバトルは、手に汗を握るものだった。
次戦は早くも最終戦。12月14日(日)の開催だ。指定車両は先般のアップデートで追加された「N-ONE RS ‘22」、指定コースは鈴鹿サーキットだ。
N-ONE OWNER’S CUPのようなレースとなること請け合いだ。リアルとバーチャルの融合となるであろう最終戦に、どうぞご期待いただきたい。