キラ・アイラ選手が悲願の初勝利!

2024年6月23日(日)に「e-DGMS 2024 by グランツーリスモRd.3」が開催され、マセラティMC20によるレースで、キラ・アイラ選手が初勝利を収めた。
シリーズ立ち上げ時から参戦を続け、ついに手にした初勝利だ。

Rd.3の使用コースは「スパ・フランコルシャン 24hレイアウト」。
MC20というハイパーカーが走るのに必要十分な、ワールドクラスのコースが選ばれた。
出走キャンセルもあり、今回のレースは14人がエントリー。
なお、2選手が初参戦。InTEL(インテル)選手、しど選手。今シーズンは、どのレースにも初参戦の選手がエントリーしている。
14人に加えて参戦するゲストドライバーは、グランツーリスモ界の新星として名を馳せ、今や世界レベルのドライバーとなったTakuAn選手だ。

今回のレギュレーションは、設定されたパフォーマンスポイント内でいかにマシンを仕上げるかがカギになる。MC20の高いポテンシャルを維持したまま、パフォーマンスポイントを調整することがキーポイント。
そして、レース後半に必ず雨が降る設定となっていた。
この設定が、波乱を呼ぶことになる―――

予選では、すべての選手が一斉に飛び出した。
直線や高速コーナーが多くスリップストリームが有効なサーキットなため、位置取り争いが激化した。
1度目のアタックを終えたところで、トップタイムはTakuAn選手、2番手に中谷選手。
この2台は2度目のアタックへと入っていた。
どんどんとペースを上げる2台だったが、なんとTakuAn選手は燃料が持たず最終コーナー手前で離脱。スリップストリームを巧みに使用した中谷選手がポールを奪った。
前戦は表彰台すら逃してしまった「絶対王者」が勝利に向けて上々の滑り出しを見せた。

レース決勝。オールージュの手前からスタートする24hレイアウト。
「早く勝負を決めたい」と話すTakluAn選手がブレーキングでいきなり仕掛ける。
順位が入れ替わることはなかったが、宣戦布告をしたかたちになった。

レースが2周目、中谷選手とTakuAn選手の速さは圧倒的で、3位以下との差が開き始めていた。中谷選手の立ち上がりが鈍ったところを見逃さなかったTakuAn選手は、ケメルストレートでピタリとスリップストリームに着く。
その先の「レコ―ム」で外から並ぶと、サイドバイサイドでコーナーをクリアしていくバトルに発展。しかし、なんとかしのいだ中谷選手がトップの座を守った。
しかし、3周目では全く同じシチュエーションでTakuAn選手がオーバーテイクに成功。
「隙がありました」と話すTakuAn選手だが、そのチャンスを逃さない点は流石だ。

レース4周目、解説陣はため息を漏らす。
各選手を紹介していたときに、前回王者のふなさん選手、そして前期2位を獲得したEVO選手が、8番手、9番手に沈む。そしてインターミディエイトタイヤを履いていたことが判明したのだ。解説の岡田衛氏は「練習走行のままタイヤを戻さずに決勝へエントリーしてしまった」と予想し解説。

レース6周目、当初の予告通り雨が降る。先頭集団がケメルストレートを過ぎたところで雨が降り始めたため、ピットロードの入り口は遥か前方、長い距離をレーシングスリックで走ることとなる。
どんどんと増える雨量、マシンの挙動が怪しくなっていく。
トラクションを得られない中谷選手にTakuAn選手が詰め寄る。
世界レベルのプレッシャーからか、中谷選手は高速コーナーで外に膨らみ、コースオフ。制御を失ったマシンはスピンし、クラッシュ。トップ争いから脱落してしまう。
絶対王者も足元をすくわれる今回のレース。そのマシンを横目に、明らかに速い2台が迫っていた。
ふなさん選手とEVO選手だ。
2人が履いていたインターミディエイトタイヤは、「必ず降る雨」を見越したものだったのだ。

「水を得た魚」のこの2台は、スリックタイヤで苦しむ他車の間をスルスルと走り、ピット入ったTakuAn選手と中谷選手をも抜き去り、何の苦労もせずにトップに躍り出て、ファイナルイン。
解説陣が唖然としている間に2台は最終コーナーへ。
トップチェッカーはEVO選手。そしてふなさん選手。それに遅れること数秒、インターミディエイトタイヤに履き替えたTakuAn選手、そしてスリックタイヤのまま走りきる「博打」に出たキラ・アイラ選手がチェッカーを受けた。

しかし、ここで、トップ2台、ふなさん選手とEVO選手の画面上の順位がするすると下がっていく。
レーシングハードタイヤの使用義務が設定されていたため、ペナルティが課せられてしまているのだ。
逆転に次ぐ逆転で、優勝はゲストドライバーのTakuAn選手。そして、ゲストドライバーを除く、参戦選手の中で優勝したのはキラ・アイラ選手だった。
e-DGMS立ち上げの2022年から参戦を続けるキラ・アイラ選手。
難しく、波乱尽くめのレースを制し、初の優勝となった。
キラ・アイラ選手には後日記念品が贈呈される。