BMW & MINI Racing 2022

M2 CS Racing Series

Round2(第3戦-第4戦)

富士スピードウェイ[静岡県]
  • 開催:5/15(日)
  • ドライバー:石井 一輝(M2 CS Racingクラス)
  • REPORT:竹岡 圭

DGMS(ダイワグループモータースポーツ)のチームレポーターとして活動している、レーシングドライバーの岩岡万梨恵ちゃんが、同日行われたKYOJOCOPに参戦中のため、今回DMGS観戦ツアーガイドを務めさせていただきました竹岡圭が、Rd.2のレポートも併せて担当させていただきました。

梅雨入り前だというのになぜかぐずぐずとした空模様が続く週末。しかし、決勝日は前日までの雨が上がり、雲は多めながらも時折薄日が差し込むような穏やかな天候となりました。

前回のSUGO大会第2戦で見事優勝をゲットしたDGMSチームは、大会規定によるハンディキャップを背負わされ、マシン出力を450psから365psに制限された状態でのチャレンジとなりました。

ちなみに第1戦を制したマシンは今回不参加ということで、石井選手のマシンだけがパワーを絞られている状態。ストレートが長く、全体的にハイスピードコースとなる富士スピードウェイではどうなるか…。 約100ps抑えられた状態は、ハッキリと致命的なハンディキャップを背負わされたと言い切っていいでしょう。正直なところ、ドライバーとしてはモチベーションを保つだけでも大変だと思いますが、石井選手はそんな中でも課題を持ってチャレンジすることで気持ちを奮い立たせていたようです。

第3戦、午前8時から予選が開始されましたが…。タイムを見てもライバルのマシンとは1周あたり3~4秒の差がついてしまうといったところ。
このレースはMINIチャレンジと混走のため、元々マシンのタイム差がかなりあり、クリアラップを狙うだけでも大変なのですが「前にライバルを見掛けては離され、後ろからは抜かれといった状態なので、正直気持ち的にはツライですね。でも、パワーが絞られているなら絞られているなりに、やることはあります。今回はミスなく丁寧に走ることを心掛けます」という石井選手。マシン自体は全体的にパンチがなくなるといった感じで、特段走りにくくなるというフィーリングではないということですし、まだまだ3大会目なのでマシンとさらに仲良くなるためにも、丁寧に操るにはどうすればいいかを模索することに割り切ったと、気持ちのコントロールは完全にできているようでした。

小川監督も「年間通してのシリーズポイント等を考慮すると、今回は表彰台に上がれればラッキー。とにかく完走とドライバーの鍛錬」と考えていらっしゃるとのこと。与えられた環境の中でいかにベストを尽くすか。そんな戦い方を改めて見せていただいたような気がしました。

結果としては、第3戦は予選順位そのままでのフィニッシュとなりましたが、このレースシリーズの第4戦は第3戦の結果を反映した、リバースグリッド制が採用されるとのこと。ちなみに全車がリバースとなるわけではないようで、第3戦3位のマシンがポールポジションに繰り上がり、あとはオーダーままという変則的なリバースグリッドとなりました。今回は特に、石井選手のマシンだけが出力制限が掛けられているということで、3位だけが繰り上がるというポジションからのスタートとなったのかもしれません。

午後15時50分からとなった第4戦は、徐々に気温も路面温度も下がった状態でのスタートとなります。
スタンディングスタートのため、スタートだけが見せ場だと語っていた石井選手「お!ついていけてる!」と、思わず思ったんだとか。

ところがその直後、1~2コーナーに差し掛かるところでアクシデントが発生します。
2番グリッドからスタートしたマシンが痛恨のブレーキミス。トップでコーナーに飛び込んだマシンを押す格好になったためトップのマシンがスピン。2番手のクルマはほぼ停止するような状態になり、その膠着状態を避けようと石井選手が取ったラインに、スピンしたマシンが巻き込んでくるという事態。左側フロント部と足回りにダメージを負い、そのまま外側へとコースアウトしリタイアとなってしまったのです。

石井選手に大きなケガ等がなかったことは不幸中の幸いでした。石井選手は「スタートしか見せ場がないからと思って、つい行ってしまったが、冷静に考えれば出力が絞られているわけで、そんなにスタートを頑張らなければアクシデントに巻き込まれなかったかも…、考えると悔やまれる」と言っていましたが、ドライバーとしてその時できるベストを尽くした姿は輝いていましたし、その姿を見た高野チーム代表も、石井選手を称えていました。

レースの方は、セーフティーカーが約3周に渡って入ることになり、20分+1LAPのレースで全9周(第3戦は全12周)にてフィニッシュ。最後の最後までトップ2台が争うレースとなりましたが、アクシデントを発生させたドライバーの危険行為との裁定が下り30秒追加のペナルティとなり、アクシデントを上手くかわした3番手スタートのマシンが優勝となりました。

この結果を受け、次の第5戦からは、このままのレギュレーションでいくと都合4台のマシンが365psという出力制限を掛けられることになり、現在次戦へのエントリーを表明している1台だけが450psということになるわけですが、まだ今年から始まったばかりのシリーズのため、レギュレーションを含め模索中といったところなのではないかと思います。

さて…、今回もうひとり特に輝きを放っていたのが、メカニックの金さん。
「知識が豊富で探求心がスゴイ。レースメカニックになりたいという目標を見据えて努力しているのが伝わってくる」と、チームの中でも評判が高いのですが、今回もレース前後は言うまでもなく、アクシデントの後の動きにも目を見張るものがありました。さらに経験を重ね全体を俯瞰で見渡して余裕を持てるところまでに達すれば、いずれ素晴らしいリーダーになれそうな予感がしました。

そしてもうひとつ、今回新たなるトライとなったのが「DGMS Circuit Day in富士スピードウェイ」の開催でした。

ワタクシ竹岡圭は、このツアーガイドを務めさせていただいたわけですが、一般応募を含む40名の枠は参加料有りのイベントにもかかわらず応募多数で専用駐車場に限りがあったため、抽選となったとのこと。こうした活動はモータースポーツを広めるという企業姿勢としての文化活動的な側面はもちろん、直接お客様とふれあいながら継続的につながっていくことで、ダイワグループのファンを増やすことにもなりますし、また間近でレースに触れることで、新たにレーシングガレージとしてお客様をサポートするという、新たな事業も生まれてくる可能性もあります。

ダイワグループが、50年企業から100年企業に繋がる未来へのプロジェクトとして始めたDMGS。
「挑戦すればできる。努力すれば成果につながる」をテーマに、2019年から構想を始め2020年から実際にスタートしたプロジェクトです。ドライバー、メカニック、運営スタッフ等々、社員で構成されたチームメンバーで挑むプロジェクトと、これからももっともっと盛り上げていきたいですね。