- 開催:10/7(土)-10/8(日)
- ドライバー:石井 一輝
- REPORT:岩岡 万梨恵
DGMS(ダイワグループモータースポーツ)のチームレポートを担当させて頂きます、レーシングドライバーの岩岡万梨恵です。今回はBMW&MINI Racing ROUND5富士スピードウェイでの様子をお届けします。
今年2度目となる富士スピードウェイ。今大会は、グループ会社であるTotoBMW主催の観戦イベントを行い、応援団も多く一段と気合いの入る大会です。
M2CS Racingクラスは前大会からさらに1台、新たなプロドライバーも迎えた10台で争われます。
カラっと秋晴れのなかで行われた予選。
今大会も前回に続き、コースレコードの更新が続出する中、石井選手もしっかりとコースレコードを塗り替え、2番手タイムを出します。毎回富士大会は雨の中で行われる事が多く、青空の下走る石井選手は、見ていて気持ちの良いアクセルの踏みっぷりでいつも以上の気合いを感じます。
この気合い…、実は理由がありました。
BMW M2CSRacingクラスの特徴的である、優勝するとエンジン最高出力(馬力)に制限がかけられてしまうというレギュレーション。
今大会はプロドライバーを除くライバルがほとんど450PS、そして石井選手も450PSというほぼイコールコンディションの中で行われます。
「負けられない戦いがここにある」まさにこの言葉がぴったりです。
日曜日。
天気は曇り、気温は17度と肌寒さを感じ、連日続いていた猛暑が一転とする状況。
タイヤのフィーリングも大きく変わるのではないかと感じます。
予選2番手、フロントローからのスタートとなり、トップを狙える十分な位置。やはりレースの組み立てを大事にしていきたい様子です。何度もチームと作戦を確認していきます。
いよいよレーススタート!というところ。無線では「前半プッシュでいき、後続を離して逃げよう」という東風谷コーチからのアドバイス。石井選手は「やってやりましょう!」と力強い言葉を返していました。その言葉に東風谷コーチから「あとは任せた。」と一言。
DGMSが始まってから師弟関係である二人のやりとり。そこに監督、チームが強い気持ちを込めて石井選手に向ける目線。この時点で私は、すでに胸にグッとくるものがあり、涙が出そうになりました。
レースがスタートし、スタートが苦手だと話す石井選手でしたが、今回見事にスタートを決め1位に躍り出ます。ピットでは拍手が沸き、盛り上がります。
1周目で差を広げるも、1ミリも気が抜けない状態が続きます。
5周目に入ったところ、1コーナーで2位の選手に抜かれてしまい2番手にポジションを落としてしまいます。
しかしそこで諦めないのが石井選手。トップの選手にしっかりと食らいついていきます。
このレース、BMW M2 CS RasingとMINI JCW、MINI CPSの3クラスによる混走で行われ、DGMSチームの参戦クラスは一番排気量も高く、スピードが速いクラスとなり、他クラスの車両を抜きながらタイムを落とさないようにバトルをしなければなりません。
他クラスを抜きながら1位の選手との差も詰めながら周回する石井選手。
20分+1周のレースも終え、2位表彰台を獲得となりました。
石井選手コメント
レース2は雨が降りそうな予報なので、まずはスタートで落ち着いて逃げ切る、チェッカーを受ける事を前提に、レース1の悔しさを晴らし、後悔なく良いレースをしたいと思います。
トップに出たときは鳥肌が立ちました。その分悔しさは、ドライバーも、監督も、メカニックもみんな一緒。レース1を振り返り、すぐにチームで相談をしてレース2に切り替えていきます。
普段はTotoBMWにてメカニックをされている高橋さん。DGMSがきっかけでレースに携わるようになった一人。
メカニックをしているときはとても真剣な顔で挑む高橋さん。インタビューでは楽しそうに笑顔でお話していたのがとっても印象的です。
メカニック担当 高橋さんコメント
楽しいときもあるし、辛いときもあります。しかし、ドライバーの要求に対して、良い提案、そして結果もついてきたときに一番やりがいを感じます。普段ディーラーでは触れない車の箇所もメンテナンスしなければならないため、構造について、より理解を深めることもできます。
そんなインタビューをしている中、振り返ると…雨。
「雨だとまだ殻を破れていない」と話す東風谷コーチ。
一気にピット内にピリッと締まるような雰囲気が漂い、チームで改めて戦略を練っていきます。
レース1の結果により、リバースグリッドで行われるレース2。DGMSは、5番手からのスタートとなります。
レース直前まで天候を確認しながら、もう晴れることはない、と予想し、ウェットタイヤに交換。
いざ、本番へ向かいます。
レーススタートと同時に飛び出した石井選手。今回も素晴らしいスタートで、1周の中で3~4台によるポジション争いを繰り広げます。
ここから4台による熾烈な4番手争いが始まります。雨という非常に滑りやすい状況の中で3台が並んでコーナーに入りバトルしていきます。
気を抜くと一気に滑ってスピンしてしまうという非常に難しいコンディションの中で、前も後ろも、左右も…全方位に他車がいる状況。想像しただけでも手に汗がじわっとにじみます。
この状況で、毎周順位を入れ替えながら激戦を繰り広げ、かつ、ぶつけないという素晴らしいレース。
見ていて「お見事!」と言いたくなるようなバトルが繰り広げられます。
緊張感の漂うレース、石井選手は最後までプッシュし続けましたが、惜しくもポジション変わらず5位でチェッカーを受けました。
石井選手コメント
今回は観戦イベントとして、ピットツアーや本コースの体験走行、そして小川監督、石井選手、モータージャーナリストの竹岡圭さん、私の4人でのトークショーも行いました。
皆様レースの話や実際にサーキットを走行したり、レースマシンに座ってみたりと終始笑顔溢れる企画となりました。これをきっかけにモータースポーツが少しでも身近に、気軽に応援に行けたり、実際に走ってみたり!と興味を持っていただくきっかけとなればと思います。
髙野代表コメント
チーム全体を考えながら小川監督からは、冷静かつ愛のあるお言葉を頂きました。
小川監督コメント
チームは去年から今年にかけてとても成長していると感じます。チームワークやそれぞれの動きが変わってきています。レースメカニックは、”自分で考えること”、”臨機応変に動ける対応力”が問われ、またそこがやりがいに繋がってきます。店舗だけでは味わうことの出来ない経験、そして自分自身の成長を感じることが出来る、それがDGMSの魅力の一つです。
最後に、縁の下の力持ち、運営スタッフのTomomiさん。
今年からDGMSを通してサーキットに来るようになりました。
細かいところまで気遣いをしており、話を聞いていてまさにマネージャーの鑑!!と拍手してしまいました。
Tomomiさんコメント
レースは一人では決してできません。監督がいて、メカニックがいて、マネージャーがいて、ファンがいて。
一人一人の思いをドライバーが操って高みを目指していく。
モータースポーツは最高のチームスポーツだと感じます。
DGMSでは、みんなそれぞれの課題を持ちながら、試行錯誤を繰り返して、0だったものがこんなにも大きな絆の深いチームに育っています。
次は最終戦。
レース結果はもちろん、DGMSチーム、一人一人の動きというところにも注目をしながら、チーム全員とびきりの笑顔もしくは感動の涙で最終戦を終えたいと思います。
12月2~3日、鈴鹿サーキットにて、注目の最終戦。
ぜひ応援の程よろしくお願いいたします!