- 開催:4/16(土)-4/17(日)
- ドライバー:石井 一輝(M2 CS Racingクラス)
- REPORT:岩岡 万梨恵

こんにちは、レーシングドライバーの岩岡万梨恵です。
昨年に引き続き今年もDGMS(ダイワグループモータースポーツ)チームのレポートを担当させていただきます。
今年で3年目の活動となるDGMS。
ドライバーはもちろん、メカニック含めチームスタッフをダイワグループの社員で構成しています。
レーシングチームとして0からのスタートでしたが、デビューイヤーに2位表彰台獲得。昨年はチーム初優勝を果たすことができました。
今シーズンはステップアップを図り、新たに始まる「BMW M2 CS Racing Series」にフル参戦します。
チームメンバーは昨年に引き続き監督にモトーレン東都の小川秀一さん、マネージャーにダイワグループの伊藤保司さん、澤成子さん、ドライバーはファイブスター東都社員ドライバーの石井一輝選手、メカニックにはモトーレン東都の高橋康人さんと新たにモトーレン東部の金潤鎬さんを率いれ、初めてのサーキット専用車両であるBMW M2 CS Racingと共にレースに挑みます。

そして迎えた4月16日~17日の開幕戦はスポーツランドSUGOで開催されました。
昨年MINI CHALLENGE JAPANで優勝を果たしたサーキットであるスポーツランドSUGOは、DGMSにとって相性の良いサーキットの一つで気合が入ります。
しかし15日前日練習中、事件は起こります。
レースに向け350psから450psへ馬力アップし、雨天による初めてのレインタイヤで練習走行を始めます。
感触を確かめていく中でSUGOのSPコーナー2個目でリアがスリップしクラッシュしてしまいました。
チームとして初めてのクラッシュ。フロント部分を損傷してしまい、修復にあたります。予選は翌日の午後です。予選に間に合うようにメカニック、マネージャー、そしてドライバー全員が力を合わせ、原因究明しながら手分けをして修理していきます。
翌日16日予選日。なんとかチームの団結力と参戦している他チームの助けにより予選前の練習走行から参加することができました。これはBMW&MINI Racingの一つの特色で、レースに参戦するチーム同士の関係性が良く、和やかな雰囲気なので参戦しやすいシリーズであるからだと思います。
このことを振り返ってチーム監督の小川さんは…
しかし、最後までやれることはやろう思い、パーツの手配。
普段はライバルであるチームが危機的状況を察知して手助けしていただいたこともあり、2人のメカニックを中心に、マシンを修復することができました。このことをきっかけに、今までよりもチームの結束力が上がったので、あとはドライバーに託して表彰台を目指してがんばります。
そんな中挑んだ予選は、馬力アップした車両でぶっつけ本番のドライコンディションでのアタックでしたが、チームの力を見せつけ、1,32,761で3番手タイムを出しました。
車両トラブルもなく、表彰台圏内であるこの結果に、チーム一同安堵の表情を浮かべます。
この結果にドライバーの石井選手は…
予選は3番手タイムですが、やはりまだクラッシュしたコーナーのトラウマを引きづっているので少しずつ解消していきたいです。1コーナー、馬の背コーナー、SPコーナーはすべてブレーキにまだ余力があったので第1戦に合わせて優勝できるように、早い段階から仕掛けていきたいです。
そして17日決勝当日。今回も1日2レース行われます。
朝から太陽が眩しく快晴の中、決勝レースに向けて作戦を立てていきます。

チーフメカニックの高橋さんは…
高橋さんも初めてのBMW M2 CS Racingというレースカーを担当する中で「不安を抱えながらも事前に研修や説明会に積極的に参加してきました。事前テストでエンジン系のトラブルもありましたが、一つ一つクリアし、乗り越えてきました。新しい車両でノウハウもない中だが、何かあっても乗り越えていく過程が面白い」と語ってくれました。

いよいよレーススタート。スタート前はやはり緊張感が漂います。
3位からスタートした石井選手はスタートダッシュもうまくいき、1コーナーで仕掛けていきます。
トップとの攻防がありながらポジションを一つ上げて2番手に浮上します。
レース前半はタイヤの状況、車両のフィーリング、メンタルに集中し、様子を見ながらの走行でトップとの差が少しずつ生まれてしまいます。しかし、タイムはスタートから安定し9周目に差し掛かると、明らかに失速していくトップに比べて、石井選手は安定したタイムで前との差を徐々に詰め始めます。最大7秒あった差がみるみるうちに5秒、4秒と詰まっていきます。20分+1周のレースはあっという間に最終周。
すっかりトラウマも払拭したような素晴らしい走りで2位表彰台を獲得することができました。
この結果にチーム全体が安堵の表情を浮かべます。
新しくチームに加わった金さんは…

第2戦は上位60%がリバースグリッドとなり、石井選手はポールポジションスタートとなりました。
やはりトップからのスタートは気持ち良いですが、同時に相当なプレッシャーがかかってくると思います。
その気持ちがわかる分、より応援に力が入ります。
石井選手は…
いよいよ第2戦、引き続き気持ちの良い天気の下、レースがスタート。
スタートも決まり、1コーナーはトップを守り切り走り抜けます。
しかし、フォーメーションラップ中に止まってしまった車両回収のためセーフティーカーが入り、制限速度付きで車両が回収されるまで周回を重ねていきます。
セーフティーカーからレーススタートする場合は、ローリングスタートという全車走りながらスピードに乗ってスタートとなります。コントロールラインを抜けるまでは追い抜き禁止であることや、アクセルを踏んでいくタイミングでスタートが決まってしまうという、スタンディングスタートとはまた別の難しさがあります。
このローリングスタートは石井選手にとって初めての経験。
無線を通してドライビングアドバイザーの東風谷さんが石井選手に「落ち着いていけば大丈夫だから」と声掛けをしてドライビング、スタートのタイミングに集中をさせます。
スタートから4周目でセーフティーカー解除、ローリングスタート、レースが再開となりました。
最終コーナー登り切ったあたりから石井選手は加速。タイミングも良く、1コーナーに入るまでに後ろの2位、3位の選手がバトルをしたおかげで石井選手は後方車両を確実に引き離していきます。
石井選手は落ち着いた確実な素晴らしい走りを発揮し、予選タイムに近いタイムで走行し、独走のままチェッカーを受け、見事優勝をつかみ取りました。
東風谷さんも「チェッカー受けるまで自分のレースより緊張する」と話し、この言葉でチームが一体になっていることを改めて感じます。

ゴールした瞬間、ピット内ではチームスタッフ歓喜の声であふれ、チーム全体でつかんだ勝利なのだと、印象に残っております。
レースを終えて石井選手は…
チーム監督の小川さんは…
優勝することができて意味のある週末であったと感じます。
次戦も車を大事に、ただ縮こまらず、メカニック含めチームでリカバリーするので、ドライバーにはアクセルを踏んでもらえるようにしたいです。
アクシデントから始まった週末、それをしっかりチームでリカバリーし結果に繋げたレース。
開幕戦から優勝と2位表彰台を獲得したダイワグループモータースポーツチームは今後のレースも、より強く硬いチームワークでパワーアップしていくと改めて感じます。



このプロジェクトを始めた高野社長も常に新しいことにチャレンジすることをモットーとしております。
高野社長自身もレース経験者で、若いころは同僚と車を整備したり、レースに参加したり、カートに乗ったりしていたそうです。その経験から、仕事以外でも自動車に没頭できる環境を作りたいという気持ちからこのプロジェクトが発足したそうです。自分が楽しかったことを社員に提供し、この活動を通して普段の仕事のモチベーションも上げることができて本当に素晴らしいプロジェクトだと感じています。
次戦は5月15日富士スピードウェイで行われ、DGMSとして観戦ツアーもご用意しております。
他チームと協力し合うアットホームな「BMW&MINI Racing」を間近で感じてもらいながら、DGMSチームのレースに対する姿勢、命がけで戦う緊張感を間近で味わいながらチームもファンも一体になり楽しみましょう。ゆくゆくは見るレースから一緒参加するレースにしていき、楽しめる層を増やしていけたらと思います。
次戦も55(GOGO)DGMS!!