BMW & MINI Racing 2024

M2 CS Racing Series

Round2(第3戦-第4戦)

鈴鹿サーキット[三重県]
  • 開催:5/11(土)-5/12(日)
  • ドライバー:石井 一輝
  • REPORT:東風谷 高史
  • Photo by 小笠原 貴士

鈴鹿戦のレースレポートを担当するDGMS(Daiwa Group Motorsport)レースアドバイザーの東風谷です。
僕はDGMSが始動した頃からこのチームのレーシングコーチとして携わっています。
今回のレポートでは、石井選手と僕のやり取りも交えながらお伝えしていきます。

石井選手は開幕戦富士のレースを落とした責任で相当苦しんでいました。鈴鹿事前テストでの走りやコメントにもいつもの自信が皆無。
前戦で負けた事が想像以上に大きく事前テストはメンタルの立て直しから始まりました。
今回の事前テストは1年ぶりに僕もM2 CS Racingをテストする事に。
それは石井選手からのリクエストで、「今の車の状態を確認して欲しい」とのこと。
これも自信が欠落しがちな時に現れる“彼からのシグナル”でもあります。

久々に#55 DGMS号をドライブすると「クルマは問題ない!あとは運転手次第だ」と伝えると彼に笑顔が戻り一安心。

石井選手とメカニックが仕上げてきた甲斐もあり、とても乗りやすくこれなら優勝を狙えると、チームの空気が一変した瞬間でした。

そしてBMR鈴鹿戦金曜日のフリープラクティスから絶好調!
石井選手が得意なコースと断言する鈴鹿。総合トップタイムを記録。テストメニューも順調に消化しドライバーのみならずメカニック、マネージャー、チーム一丸となっていく。
5シーズン目となるDGMSは、各自の役割を全力で果たしていく素晴らしいチームとなりました。

そして予選日。
いつものようにドライバー、メカニックと入念に打ち合わせしコースイン。タイヤグリップが最大限発揮するのは、たったの1周。それ以上走ってもタイム更新は無い。即ちミスの許されない一発勝負!ドライバーの緊張度は最高潮に達しますが、現在の石井選手は落ち着きもあり見ていても安心感が増しました。

予選では計画通り1周計測のみで見事トップタイムを記録しポールポジションを獲得!
富士に続き2戦連続のポールポジションとなりました。石井選手自らの力で開幕戦富士の悔しさを吹き飛ばした瞬間でした。

レース1決勝の作戦は『レース1を征する』。
過去にも優勝経験はありましたが、リバースグリットからの優勝が続き、石井選手はこのレース1で絶対に勝つと意気込み、臨んだ決勝。

スタート直後の1コーナーで2番手と一瞬並走となりましたが、2コーナー立ち上がりでは1位をkeepし順調に後続を引っ張っていきます。後続のラップタイムが落ち始めたレース序盤、石井選手のペースは安定し更に後続を引き離し順調に周回します。いつもなら#55DGMS号もタイムダウンしていきますが、「得意なコースは鈴鹿!」と断言する石井選手と#55DGMS号は速いペースで安定!

更に後続を引き離しに掛かるレース後半に他車のクラッシュによる原因でセーフティーカーが導入。そして、レースは一時中断を告げる「赤旗」が提示されてしまう…
レースの残り時間はあと僅か…
石井選手は再スタートして優勝を決める!と思うも願いは叶わず赤旗にてレースは終了。

小川監督より石井選手に無線で「チェッカー無しだけど優勝だよ、おめでとう!」と祝福のコメントに、石井選手も「俺らしい優勝だなー」と周囲を笑わせた瞬間でした。実力で手繰り寄せたレース1の優勝。リバースグリッドから行われるレース2にも期待が膨らみます。

BMRは1大会2レース制のレース形式で行われます。レース2はレース1の結果をひっくり返すリバースグリット方式を採用。要するに、連勝はさせませんよ!との認識で良いと思います。しかし、石井選手は2連勝すると公言してM2 CS Racingに乗り込む。グリットは前回優勝の為、3番手スタート。スタンディングスタートではなく、今年からローリングスタート方式が採用されています。一定の車速と車間を保ちながらトップ車両が全車を牽引してスタートするのは迫力いっぱいで見る側も楽しいスタート方式です。

3番手の石井選手もスタートダッシュを狙おうと思った矢先に想定外の出来事が…
ローリングスタートは、全車との間隔を一定に保ち隊列が整った事が確認したらスタート。しかし1位と2位の間隔が空き気味のままレースはスタートします。2連勝を狙っていた石井選手は当初の作戦がスタート直後から狂い始めます。昨年最終戦鈴鹿でも5台以上オーバーテイクしての優勝を遂げているので、落ち着いていけば優勝にも手が届く。焦らず焦らずと思った矢先にアクシデント発生。レース序盤のシケイン立ち上がり。僅かに空いたイン側スペースに石井選手が飛び込みサイドバイサイドの応酬。しかし、両車は接触し互いにハーフスピンしつつもレースは続きます。
そして、この接触がドライブスルーペナルティーの裁定が下り勝負権を失います。
接触による影響で石井選手のM2 CS Racingにもトラブルが発生し、真っすぐ走らない苦しい状況となりましたが、ラップタイム低下を最小限に留めてチェッカーまでマシンを運んでくれました。速さがあっただけに大きな勝ち星を逃してしまいましたが。

次戦も挑戦を続けるDGMSの応援を宜しくお願い致します。