BMW & MINI Racing 2022

M2 CS Racing Series

Round5(第9戦-第10戦)

鈴鹿サーキット[三重県]
  • 開催:12/10(土)-12/11(日)
  • ドライバー:石井 一輝(M2 CS Racingクラス)
  • REPORT:レーシングドライバーREONA

DGMS(ダイワグループモータースポーツ)のレースレポートを担当させて頂きますレーシングドライバーのREONAです。BMW&MINI Racing2022 Round5 鈴鹿の模様をお届けいたします。

心配されていた天気にも恵まれ、12月とは思えない暖かい日差しが差し込んだ週末。
今回の最終戦にはBMW M2 CS Racingクラスに前回岡山で堂々たる走りを魅せた石井一輝選手(ファイブスター東都)がドライバーとして参戦いたしました。
MINI CPSクラスに参戦予定の竹岡圭選手は体調不良のため、残念ながら不出走となりました。

今回の最終戦は今までのRoundでカギとなっていた、マシンの出力制限もなく参加車両5台がすべて同じ出力、450ps(馬力)でのハンデなしの真っ向勝負となります。

前回大会ではトップ差わずか0.6秒まで詰めたものの、馬力の差の壁に悔しい思いをした石井選手。前回大会の悔しさをバネに、より一層気合が入っているように感じました。

前日の練習走行前、「先月のテストでやり残した課題を消化して、予選決勝に向けてのセットアップ等の準備を進めていきます。」とコメント。
メカニックやアドバイザーと入念に話し合い、車両を調整し走行後には「課題も解消できた」と気合の入る中でも冷静に着実に準備をしていました。その姿には、安定感と自信が感じられました。

そして迎えた翌日の予選。12:40から20分間の1本勝負。
石井選手はさまざまなコンディションを冷静に判断しながらアタック。「タイム2,18,00を切る」とチームが掲げていた目標タイムをしっかりクリアしてきます。

しかし、25号車が予想を上回る好タイムを記録。
予選では2番手タイムを記録しチェッカーとなりました。
初の鈴鹿にも関わらず好タイムを記録した石井選手。
予選後のコメントでは不本意な結果であることに悔しさを滲ませていましたが、「明日の決勝に向けて改善できるところを探していく。」と走行後すぐにデータをチェックし明日の勝負に切り替えている姿が印象的でありました。

迎えた決勝レース。
心配されていた雨も降らず連日同様カラッとした晴れの天気。気温も12月なのに暖かく、とても良いコンディションとなりました。
最終戦ということもあり、今までにないくらいたくさんのギャラリーが集まっていました。

レース前、石井選手は非常に落ち着いた印象で「今はそんなに緊張もしていなくてリラックスできている。予選の結果もあって、追われる方だとまだ少し焦ってしまうけど、今日は追う方。失うものは何もないという気持ちもあってリラックスできているのかな。」とコメント。

東風谷コーチも、1位の選手と石井選手の鈴鹿サーキットの走行経験の差を踏まえて
・最初は無理せず1位の選手の運転をコピーして、ついていくこと。
・我慢すること。
・そしてオラオラな走りをやめて、落ち着いて走ること!
と石井選手の性格をよく理解している東風谷コーチだからこそのコメントで周りの空気も和らげていました。

11:00から始まった決勝1レース。
昨日の予選で2位の石井選手はインコース側の2番グリッドからスタート。
ポールポジションの車にスタートからしっかり食らい付いていきます。
3番手以降の車両には4秒以上の差をつけて1位の車との一騎打ち。
タイム差は1秒もなく必死に追っていきました。

4周目以降、タイヤが消耗しだしてからの車両のコントロールや、ラップダウンの車両をかわすことに苦戦したと話す石井選手。
第9戦は2位でのチェッカーとなりました。

決勝後、石井選手は「非常に悔しい。技量の差がはっきり出てしまって…ただ、負けはしたけど、車や自分の気持ちとか、そう言ったところは全然悪くないので、次の決勝は切り替えて冷静に、クレバーに戦えたらいいなと思っています!」とコメント。

東風谷コーチ、メカニックの金さんと車両のセットアップや次戦に向けて作戦を組んでいきます。
決勝1から決勝2までの時間がとても短いため、急ピッチで車両の調整を行います。メカニックもサポートも更に忙しなく、ピット内の雰囲気も緊張感が漂います。

そして迎えた今シーズン最後のレースとなる決勝2。
グリッド順はリバースグリッドが採用されます。決勝1で2位となった石井選手は2番グリッドからのスタートとなりますが、1位と3位の車両はスタートグリッドが前後入れ替え。
1位の車は3番グリッドからのスタートとなります。

スタート直後、1番グリッドから出走の車両を抜きトップに躍り出ます。
真後ろに先ほどの決勝1で優勝した車両がピッタリとついて追われる展開に。

ピット内のクルーもモニター越しに固唾を飲んで見守ります。

3周目、一度抜かれるもストレートで再びトップに。
トップ争い2台の熾烈なバトル。その後抜かれるも、離れることなくしっかりとくらいつき、1秒の差もなく2位でチェッカー。

レースの結果もセクター1以外は他の選手よりも速く走れており、悔しさは残るものの次に繋がるポジティブなレースであったと思います。
最終戦、2戦連続表彰台。シリーズランキング2位となりました。

石井選手は走行後、「来年に繋がるレースをと気持ちを入れて臨みました。結果としては負けてしまいましたが午前中のレースよりタイムも良かったし、抜かれてからもついていくことができたので、ポジティブなレースだったと思います。」とコメント。

レースの経験を重ね、シリーズチャンピオンを目指すくらいに成長した石井選手。
今回、このサポートをさせていただく前の石井選手の印象は伺っていた「元気いっぱい」なイメージでした。
しかし、今回のレースでは「冷静さや落ち着き」のイメージが強く、石井選手の精神的な部分の成長や、堂々たる実績からもわかるレーシングドライバーとしての安定が感じられるレースでした。

またピットクルー、ドライバー全員が元々レース未経験で、普段は会社の社員。
石井選手はレースの合間にも仕事の連絡を受け、対応していました。
仕事もしながら、限られた時間や経験の中で少しでも学び、吸収し成長していこうとする姿。そして、同じ目標に向かってこの1台の車に集まって取り組む姿勢はなかなか他のプロチームでは見られない光景でした。

声を掛け合い励まし合いながら1台の車に向かい、レースで正々堂々戦う姿にチームの強さを感じました。来シーズンがますます楽しみです。

石井選手に来シーズンの目標を伺いました。

シリーズチャンピオンリベンジしかないです。本当に悔しいです。勝ちたいです。車は非常にいいと思うのでそれを使い切れるように…特にこの鈴鹿で壁を感じたので、シーズンオフ中にトレーニングしっかり頑張ります。

今シーズンを終えて、石井選手の仕事に対する前向きにトライする姿や
ひたむきな努力を見てきた高野社長のコメント。

まず怪我もなく今シーズン終えられて良かったなと思います。1番成長を感じたのは、負けた時に涙を流すとか、勝った時に嬉し涙を流すとか。そういった感情が溢れ出すぐらいに自分たちが成長したということを今年はすごく実感できた。これを糧に来年、更にステップアップしていけたらと思っています。石井くんも、クルーも、自分たちの仕事をこなすような成長ができたのも良かったと思います。

ドライバーとしての石井選手の成長を1番近くで見てきた東風谷コーチのコメント。

3年前と今日のレース。もうほぼ別人なくらいに変わった。特に今年。レースの内容としては、初の鈴鹿でこれだけ走れればと思うのでそこまで悲観的ではない。逆に、セクター1だけ負けているってのが悔しいくらい。来年このセクター1負けているのを取り返しに来よう!と石井とはもう今から話し合っているから。彼には期待しかしてないです!

石井選手をはじめ、周りのメカニックやサポートクルーも仕事やレースに対して成長を感じて、インタビュー時に熱く語っていたのが印象的でした。全てを載せきれないのが非常に惜しいのですが、来シーズンは更に更に高みに成長していけるチームの力を感じました!

シーズンを通して、皆様の熱い応援をありがとうございました。
来シーズンはシリーズチャンピオンをチーム一丸となり取りに行きます。
引き続き熱い応援をよろしくお願いいたします。